運営体制・装置・技術

装置・技術の特徴

金属針先端から放出されるレーザー光のような電子ビーム

当プラットフォームで共用化を予定している電子顕微鏡には,全て電界放出型電子源を用いた電子銃が搭載されています。
本方式では、電解研磨により先端の曲率を0.1μm以下に先鋭化した金属針に2~5kVの電圧を印加することで電子を引き出します(図1)。
放出した電子はエネルギーのばらつきが少なく、方向の揃った電子ビームとなります*1。試料を透過した電子と真空を通過した電子は,下流に置かれたバイプリズムにより重ね合わされ,スクリーンでは高いコントラストの干渉縞が形成されます(図2)。
この干渉縞をホログラムと呼び、電場・磁場の情報は干渉縞の面内シフト量に反映されます。
更にホログラムを信号処理し、試料直下の電子波面を再構築することで試料内部及び周辺の電磁場計測が可能となります*2

図1 電界放出型電子源

図2 ホログラム形成過程の模式図

  • *1 A.V.Crew et al., Rev. Sci. Inst. 39 ,576 (1968)
  • *2 H.S.Park et al., Nature Nanotech. 9 ,337 (2014)

ホログラフィー機能を備えた超高圧電子顕微鏡

当プラットフォームでは共用装置として4台の300kV-TEMのほか、2台の超高圧ホログラフィーTEMを揃えています(図3)。 これらの装置は専ら厚い試料での観察に優先的に提供されますが、最新鋭の1.2MV原子分解能・ホログラフィーTEMは高加速化による高い透過能だけではなく、空間分解能の面でも優れた性能を発揮します*3。これは世界で唯一超高圧TEM用の収差補正器を内蔵している効果によるものです。
また、2000年から稼動中の1MVホログラフィーTEMは室温から極低温(~5K)に至る温度を安定に実現する試料冷却機構のほか、試料に対して任意の方位から磁場印加可能な機構を備えており、超伝導体中の磁束量子観察の研究成果に適用されています*4

図3 超高圧ホログラフィ―TEMの概観

(a) 1.2MV原子分解能・ホログラフィ―TEM
完成年 : 2014年
加速電圧 : 1.2MV
空間分解能 : 43pm
(b) 1MVホログラフィ―TEM
完成年 : 2000年
加速電圧 : 1MV
空間分解能 : 120pm
  • *3 T.Akashi et al., Appl. Phys. Lett. 106 ,074101 (2015)
  • *4 A.Tonomura et al., Nature 412, 620(2001)

各拠点の特長と主な共用装置

日立製作所
(研究開発グループ)

埼玉県比企郡

世界唯一の収差補正機能付き超高圧ホログラフィ―電顕*5を所有。厚膜の計測に特長を発揮。

1.2MVホログラフィーTEM*6

厚膜透過観察、
超高分解能(~43pm)、磁場印加(500mT以上)

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ファインセラミックスセンター
(ナノ構造研究所)

愛知県名古屋市

半導体デバイス,電池など産業界向けの計測実績多数。試料作製のノウハウも豊富。

300kV ホログラフィー TEM

高分解能(~200pm)、試料の加熱及び冷却、電圧印加、磁場印加(~120mT)

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九州大学
(超顕微解析研究センター)

福岡県福岡市

金属材料の研究で世界有数の実績あり。事業には昨年導入した新規装置で対応。

300kV ホログラフィー TEM

高分解能(~200pm)、試料の加熱及び冷却、電圧印加、磁場印加(~50mT)

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東北大学
(多元物質科学研究所)

宮城県仙台市

材料分野での知見が豊富な
多元物質科学研究所内の研究室で事業を実施。

300kV ホログラフィー TEM

高分解能(~170pm)、
エネルギー分析像、試料への光or電子の照射

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  • *5 本装置は総合科学技術・イノベーション会議により制度設計された最先端研究開発支援プログラム(内閣府)により、日本学術振興会の助成を受けて開発されました。
  • *6 TEM:Transmission Electron Microscope (透過型電子顕微鏡)

ご利用の流れ

当プラットフォームへの利用申込や利用に関する質問・技術的な相談はすべて受付窓口(メールアドレス:atomic-scale [@] rdgml.intra.hitachi.co.jp)にて承ります。質問・相談は無償です。
提案頂いた利用課題は運営委員及びコーディネーターと検討の上、具体的な提案をさせて頂きます。まずはお気軽に御連絡ください。

利用料金

下表は平成29年7月28日現在のものです。時間当たりの利用料金は変更する場合があります。

実施機関 教養装置 主な仕様 利用料金(k¥/時間)
日立 原子分解能・ホログラフィー
電子顕微鏡
電子加速電圧:1.2MV
最高分解能:43pm
20
超高圧ホログラフィー電子顕微鏡 電子加速電圧:1MV
最高分解能:120pm
10
ホログラフィー電子顕微鏡 電子加速電圧:350kV
最高分解能:200pm
3
JFCC ホログラフィー電子顕微鏡 電子加速電圧:300kV
照射系に1、結像系に3段のパイプリズム
5
九州大学 ホログラフィー電子顕微鏡 電子加速電圧:300kV
最高分解能:200pm
2.6
東北大学 ホログラフィー電子顕微鏡 電子加速電圧:300kV
磁気シールド対物レンズ
3.9
  • ● 受け付ける課題は原則として全て有償とします。
  • ● 提案課題の実施よって得られた成果は原則公開するものとします。非公開での利用を希望する場合は事前に協議の上決定します。
  • ● 条件だし・結果解析などにかかる時間単価は、本表の値に1以下の係数を乗じて算出します。この係数は事前の協議の上決定するものとします。
  • ● 課題実施に係る消耗品は試料載置用銅メッシュなどの汎用流通品を除き、原則ユーザー側の負担となります。
  • ● 装置を使用しない技術相談や利用相談は原則無料とします。
  • ● 上記使用料は事業実施期間中は随時見直しを行い、装置の改良・改造に伴って増額する場合も想定されます。